2021/03/04 19:54
N/OH - LEDGE. #03
ノウレッジ・ノウの心得。
ノウレッジでは、わたしたちのこだわり、気にかけていること、好きなもの、会いたいひと etc.を紹介していきます。そこになにか、「こたえ(答え・応え)」があるのではないかと思っています。相互作用、情報伝達、意思疎通。私たちの作品は、さまざまなものごととの「反応」でつくり出される揺らぎのようなもの。その揺らぎの「素」をノウレッジで表現できたらと考えています。
BOTANIZEの横町健さんと語り合った[N/OHのいまとこれから。]
[ Vol.3 ]
N/OHの植木鉢、その独自性
直人:この、足が繰り出している鉢は、N/OHに切り替わって、土の配合を変えてできたもの。当時は誰もやってなかった。2020年の2月に、(東京の)2神宮前で見てもらったとき、あのとき、健さんが一発で「志穂ちゃん、土変えた?」と聞いているのを見て。健さん、いつもふざけてるけど見てるんだなーって。
マーティン:最初にプロダクトを作ろうとしすぎたんじゃない? 僕は正直、ちょっと甘くなったなと思いながら見ていた。でも、“徐々に”戻ってきたよね。
宮脇:1年か1年半くらいかかりました。勇気を持って断ち切ったのに、断ち切れてなかったというか、スタートと同時に、何がしたかったのかわからなくなっちゃったんですよね。
“徐々に”ができなさすぎて、私らしいなって思うんですけど、作品には全部出ちゃうから。N/OHは“揺らぎ”を大切にしているんですけど、その頃は“ブレ”だったんですよ。今はわかるけど、たしかにプロダクトにしすぎたのかもしれない。
マーティン:直人さんは言葉で「アートとプロダクトの間」「揺らぎを大切に」と言うけど、志穂ちゃんはもともとプロダクトを作った経験ないし。それはわからなくて当然だったんだろうけど。それがスタッフとともに数をこなした事で感情が抜けて、プロダクトづくりに専念できるようになったから、おのずとキレが戻ったんやと思う。
N/OHの植木鉢、その独自性
――N/OHの植木鉢のユニークさはどんなところだと思いますか?
直人:(上部の)縁の欠かしとか、今みんなやってますけど、当時はなかったですよね。
横町:この欠けともいえるグランジ感のある微妙な感じがわざとらしくなくて、たまらなく好きだね。
宮脇:植木鉢でやってる人はいなかったかもしれないですね。別にこれが新しいと思ってなかったですけど。
私は、器を作って失敗したときに割るんですよね。その切り口が超かっこいいとずっと思っていて。(危ないから)食器には応用できないんですけど、植木鉢を作り始めたときに、私の知っている土のカッコいい面を伝えられる媒体としていいなと思って。欠かしたのは、土にもこういう表情にもあるんだよって伝えたかったから。割れている感じとか、割れていない面との差とか、そういったのが自分では魅力的だった。
――この削りを入れるのは、NEOSHIHOの頃から?
宮脇:この鎬(しのぎ)を入れるのは、当時からやっていました。
横町:(他には)ないよね。これがもう、志穂ちゃんのアイコン。代名詞。
宮脇:「しのぐ」という技術は、コーヒーカップとかにも使われているんですけど、このカクカクしているところや面で表現するものは、(他の植木鉢には)ないかもしれない。
――ちなみに、足が付いているのは独自のかたちですか?
直人:これ1日で生まれたよね? 朝アトリエで新聞を読むんですけど、ふと目にした記事に盆栽があって。それで「絶対、盆栽でしょ」って言って出かけて戻ってきたら、スタッフと志穂さんが目をキラキラさせて、「できたよ!」って。1年に1回くらい一発スコーンといいものできる瞬間がある。
もともと足を外から付ける発想が、(彫刻家の)彼女はないんでしょうね。彫刻の人たちは、削り出すのかな。別添えじゃない。僕は、志穂さんがその技術を持っていることにびっくりした。1枚板から削り出すのは衝撃だった。
宮脇:くっ付けるのはかっこよくないなと思って。私は一体化してる方が好きだったから。
直人:僕は、置いたときのアールを意識してる。志穂さんはもともと彫刻畑だったから、そこでない技術を活かさないと意味がない。スタート地点が違うから、陶芸の先生たちがやっていることは超えられない。志穂さんにしか活かせないことだから、このアールはすごい。
新型コロナの影響で生まれた変化